バンクーバーのスポーツシーンに欠かせない場所と言えば、BCプレース。
バンクーバーには、日本人選手も大活躍している日本に馴染みの深い大リーグチームこそないものの、MLS(メジャーリーグサッカー)バンクーバー・ホワイトキャップスFCや、カナダのアメフトリーグCFL(カナディアン・フットボール・リーグ)BCライオンズが、ここを本拠地としている。
両リーグともこれからが佳境。ホワイトキャップス、BCライオンズとも、今、まさにプレーオフ進出をかけた戦いを繰り広げている。
ドーム型施設としては世界最大を誇ったバンクーバーの多目的施設
バンクーバーダウンタウンの目抜き通りロブソン・ストリートの東の端の突き当りにドンと座るひと際大きな建物は1983年に完成。
当時としては珍しいドーム型施設で、モコモコとした白い雲のような屋根が特長の、空気圧式ドーム施設としては世界最大を誇った。
東京ドームはここを参考にしたとも言われている(定かではないが…)。現在でもスポーツだけでなく、展示会や文化イベントにと、多目的に使用されている。
完成当初からスポーツイベントに使用され、BCライオンズがオープンした1983年から本拠地としている。もともと大リーグ球団を誘致する目的もあったと言われ、野球ができるようにも設計されている。実際、エキシビジョンゲームが何度か行われている。
しかし、建設の本来の目的は1986年バンクーバーで開催されたEXPO’86の開閉会式会場。以降ここは、世界的イベント会場として数多く使用されてきた。
バンクーバー五輪開閉会式を最後に、生まれ変わったBCプレース
2010年2月にはバンクーバー冬季オリンピックの開閉会式会場として、同3月にはパラリンピック開会式会場として使用され、世界中の人々にその姿を披露した。
そして、このバンクーバー冬季パラリンピック終了後、BCプレースは化粧直しをすることになる。
2011年にバンクーバー・ホワイトキャップスFCがMLSに昇格するのに合わせ、ここを本拠地とするためこれまでの空気圧式ドームから巻き込み型開閉式屋根を備えたドームへと改修工事が行われた。
新しく生まれ変わった姿をお披露目したのは2011年9月30日。BCライオンズ対エドモントン・エスキモーズの試合がこけら落としとなった。
屋根が開く範囲は、フィールドの大きさと同じ100×85メートル。下から見ると実はあまり大きくない。しかし初めてBCプレースの屋根が開く瞬間は感動的ですらあった。
サッカーW杯、ラグビーセブンズなど、国際スポーツ会場として大活躍
ホワイトキャップスの本拠地とするために開閉式となったBCプレースだが、以降、さまざまな国際スポーツ大会の会場として大活躍している。
2015年にはFIFA女子ワールドカップの会場として使用され、7月5日には日本対アメリカの決勝戦が行われた(残念ながら日本は負けてしまったが…)。
2016年3月にはカナダで初めてのワールドラグビー・セブンズシリーズ「カナダセブンズ」が開催された。リオデジャネイロ五輪の前哨戦として大いに注目された大会となった。2019年3月までの開催が決定している。
カナダ・メキシコ・アメリカの3カ国共同で開催することが決定した2026年FIFAワールドカップも、バンクーバーが候補地に立候補していれば、ここが会場となるはずだった。
しかしこちらはBC州政府が立候補を見送ったため、男子ワールドカップ会場となる夢は叶わなかった。たまにはこういうことも…。
バンクーバーの「朝日」の記念品も展示されているBCスポーツの殿堂
こうしたバンクーバーのスポーツシーンを見つめてきたこの場所には、その集大成とも言える展示会場BCスポーツ殿堂がある。ホワイトキャップスやライオンズだけでなく、戦前、このバンクーバーで野球ファンを熱狂させた日系野球チーム「バンクーバー朝日」も2005年にBCスポーツ殿堂入りを果たし、ここに記念品の数々が展示されている。
イベントでは、毎年春に開催されるチャリティ10キロマラソン「バンクーバー・サンラン」のゴール地点がここ。毎年会場内では表彰式や参加者へのサービスが行われる。
観光スポットとしてはあまり知られていないBCプレースだが、新しい発見があること間違いなし。ぜひ訪れてほしいバンクーバーのスポーツの聖地だ。
最大収容人数:54,500
所有者:ブリティッシュ・コロンビア州政府
住所:777 Pacific Boulevard, Vancouver, BC
アクセス:スカイトレイン・エキスポライン‐チャイナタウン・スタジアム駅、カナダライン‐イエールタウン駅
ゲート:ゲートへはスカイトレインの駅側やロブソン・ストリート側からなど多方向からアクセスできる。