新型コロナウイルス対策として自粛態勢に入ったのはちょうど1カ月前。あまりにも突然にこれまで経験したことがない非常事態が起こり過ぎて、まだ1カ月しか経っていないのかとあ然とする。

振り返ってみると、先月の今頃はまだバンクーバーで3月7日、8日に開催された7人制ラグビー世界大会カナダセブンズの余韻に浸っていた。5万人がBCプレースという屋内施設でラグビーを観戦したのが1カ月前なんてはるか遠い昔のようだ。

それから怒涛の国際スポーツ大会中止となった。3月7日にノバスコシア州で開催予定のアイスホッケー女子世界選手権、今日からちょうと1カ月まえの3月11日にはケベック州で開催予定だった世界フィギュア選手権、翌日にはブリティッシュ・コロンビア州で開催予定だった女子世界カーリング大会の中止が決まった。

カナダの冬に別れを告げるウィンタースポーツの世界大会がことごとく中止され、NHLはシーズン中断を余儀なくされ、自粛ムードとともにこのまま永遠に冬に閉ざされたままとなるのではないかという閉塞感漂う中でもやっぱり春は訪れた。

Sakura at Burrard Station, Vancouver in 2020; Photo by ©Pacific Walkers
毎年美しい桜が咲くバンクーバーのバラードステーション。Photo by ©Pacific Walkers

バンクーバーでは今月に入り一斉に桜が開花した。いつもより比較的雪が多い冬だったせいか例年よりも少し開花が遅かったようだが、それでもバンクーバーの街を淡いピンク色に染める桜はこんな時でもやっぱり美しい。いやこんな時だからこそなお一層美しい。

バンクーバーには約6万本の桜があると言われている。最近では4万本と紹介しているところも多いが、それくらいたくさんあるということ。

日本から日加友好の証として贈られた桜も多く、いまでも太平洋を越えたはるかこの地で200万人の人々に楽しまれている。

例年ならさくら並木や巨大な桜の木の下で多くの人がカメラやスマートフォン片手に撮影している姿が見られるが今年は自粛ムードでそんな春の風物詩も見られない。

それでも散歩の途中に立ち止り、天に向かって大きく枝を伸ばした立派な桜の大木の懐で今年もバンクーバーの春を満喫する。

カナダのどこよりも早く春が訪れるバンクーバー。青空の下で深呼吸すると春の香りが胸いっぱいに広がり、これがバンクーバーの匂いだとホッとする。

自粛ムードはまだまだ続きそうだが、今年の春はバンクーバーの匂いを楽しみながらゆっくりと家で過ごすことにしたいと思う。

そして夏に思いっ切り弾けてやる!!

Sakura at North Vancouver in 2020; Photo by ©Pacific Walkers
バンクーバーの桜はなぜか一つの枝に花がいっぱいついていて造花のよう…。Photo by ©Pacific Walkers
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