Vancouver Olympic Medals: Photo by ©Pacific Walkers
バンクーバーオリンピックのメダル。 Photo by ©Pacific Walkers

にわかには信じられないが、バンクーバーが2030年冬季五輪を招致という話が浮上している。

どこまで本気なのかは分からないが、2010年冬季五輪バンクーバー大会の公式放送局だったCTVのバンクーバー支社が元VANOC代表の話として紹介した。

バンクーバーオリンピック・パラリンピック実行委員会(VANOC)CEOだったジョン・ファーロング氏が、バンクーバー商工会議所に招待され20日にバンクーバーで講演を行った。

バンクーバーは今年2月12日に2010年冬季五輪開幕式から10周年を迎え、その記念講演会だった。

そこでファーロング氏が提案したのが2030年冬季五輪招致。バンクーバーにはすでに施設が整っているし、世界大会開催の評判もいい。さらにバンクーバー市民も、ブリティッシュ・コロンビア州民も、カナダ国民も、2010年大会はカナダにとって大成功だったと評価していると語っている。

州民の支持は60パーセント!!2030再招致もありか?!

CTVが依頼して行われた世論調査会社リサーチによる結果では、BC州民の60パーセントが、大賛成、賛成と支持を表明しているという。

ただ住民投票となればバンクーバー市で実施されなくてはいけないため、BC州60パーセントがバンクーバー市で多数となるかは分からない。しかしバンクーバーでも五輪は大成功との認識が高く、ひょっとするとひょっとするかも?的な雰囲気は醸し出している。

しかも、バンクーバー市ケネディ・ストゥワート市長も、BC州ジョン・ホーガン州首相も、完全否定はしなかった。

検討に値する的なニュアンスを記者の質問に対して返していて、あとはバンクーバー市民の意思次第ということのようだ。

なんだかそわそわする雰囲気になっている。

薬物、ホームレス、住宅問題がネックか?

多くの州民に支持されている2030年五輪招致ではあるが、問題も山ほどある。

まずは住宅問題。もうこれ以上はないというところまで上がってしまった不動産。バンクーバー市内では90パーセント以上が100万ドル(8500万円)を下らないほど上がってしまった。ふつう~の2階建て一軒家でこれだから、ちょっと広い家なんて1億越えなんてざら。

だから、バンクーバーはカナダで最も住宅購入困難な都市で、世界では香港に次いで2番目と厳しい住宅事情だ。こんな中でどこに選手村を建設するのかは大問題だ。

2010年の選手村でさえ、結局はバンクーバー市が建設費を肩代わりしてなんとか収めたという状況だった。あれから不動産はさらに急上昇して、選手を迎えるだけの住宅を建てる余裕はとてもないように思われる。

候補となるのは現在手つかずのダウンタウンイーストサイド、旧日本人街だろうか?

その住宅問題と直結しているのが薬物とホームレス問題。旧日本人街と言われる一角にあるオッペンハイマー公園には何カ月にも渡りホームレスがテントを張ってテントシティと言われた。最近ようやくテントが減って公園らしくなってきたようだが、ホームレス問題が解決したわけではない。

ホームレス問題は薬物問題とも直結している。ホームレスの人々が使用する危険薬物を減らし、過剰使用による死亡を減らそうとバンクーバー市も、BC州も努力しているがなかなか減らないのが現状だ。

オリンピックに多額の税金を投入するなら、まずは市民の現状を解決すべきという最も至極な意見が噴出するのは目に見えている。2010年にも同様の意見があった。結局五輪は開催されたが、事態は全く改善されていない。それどころかオピオイドの出現で悪化すらしている。

2030年最大のライバルは札幌か?ソルトレイクか?

もしバンクーバーが2030年に招致を決めたならば、最大のライバルは札幌か、アメリカ・ソルトレイクシティかのどちらかだろう。

どちらもバンクーバーと同じく2回目の招致を目指す。2026年に招致を目指した札幌だったが、北海道で地震が発生したことや、アジアでは2018年ピョンチャン、2022年北京と続くことから、2026年は厳しいとの見方があり断念。2030年に名乗りを上げた。

ソルトレイクシティは2002年に開催され、成功した五輪の一つと言われている。有力候補の一つだ。アメリカは2028年夏季大会がロサンゼルスで開催されることが決まっていて、夏冬両方で開催できるか注目される。

カナダでは2026年大会にカルガリーが招致の意欲を示していたが、住民投票で56パーセントが反対という結果になり断念した。カルガリーが名乗りをあげていたならば、かなりの確率で開催が決定されていたと思われる。残念だが住民の支持なくして五輪成功はあり得ない。

ということで、2030年の招致合戦はいかに!!バンクーバーが名乗りをあげれば面白い戦いになるに違いない。

ただ、バンクーバー市民が「イエス」という確率は低いような気がする。オリンピックレガシーは2010年で十分、あれ以上の五輪は二度とできないと思っている市民の方が多いのではないだろうか?

とにもかくにもおもしろい話題ではある。これから東京五輪が終わるまでの半年の動向を見守りたいと思う。

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