前回の華やかなゴールラッシュとは打って変わって、両チーム守り切った引き分けだった。プレーオフ準決勝初進出のホワイトキャップスにとってはここからは未知の世界。ホームで負けなかったことをポジティブに捉える。そんな試合となった。
ホワイトキャップスは10月29日BCプレースにシアトル・サウンダーズFCを迎えた。プレーオフ準決勝第1戦。25日にホームでサンノゼ・アースクエイクスと1回戦で対戦し、5ゴールを決め快勝。この日の準決勝に勝ち上がってきた。
対戦相手は昨季MLS杯覇者で、ホワイトキャップスにとっては永遠のライバル。最も近くにあるMLSチームで、2部リーグ時代からカスケディアのライバル。お互いにこのチームにだけは負けたくない!と思っているはず。そんな意地と意地がぶつかり合った試合だった。
両チームともほとんどチャンスらしいチャンスはなかった。ホワイトキャップスは前半にMFシェイ(#20)が左隅から狙ったが相手GKに阻まれた。おそらくこれが最も得点に近づいたプレーだった。
サウンダーズは後半開始早々に1本シュートを放つもGKマリノビッチ(#24)の正面。サウンダーズの最大の得点チャンスは前半36分。ホワイトキャップスDFワストン(#4)がクリアしたボールが自陣ゴールバーに当たった時だった。
ワストンはもう少しでオウンゴールとなる所だった場面を振り返って、「ヒュ~って感じだった」と試合後記者に笑って答えた。
結局0‐0の引き分け。第2戦はシアトルで11月2日、7時30分キックオフ。
10月29日(27,837)
バンクーバー・ホワイトキャップスFC 0‐0 シアトル・サウンダーズFC
「あと4つくらいはフリーキックがあってもうよかった」
試合終了後ロビンソン監督は「あと4、5つはフリーキックがあってもよかった」と語った。審判の相手の反則を取らなかった場面が少なくともそれくらいはあったと。だからと言って結果が変わったかといえばそれは分からないが、よほど気になったのだろう。記者会見の中で3回も言及した。
この日は新顔がバンクーバーデビューした。MFノサ・イギバー(#50)。スペインのリーグで活躍した選手で9月にホワイトキャップスが獲得。ポートランドでの最終戦ですでにホワイトキャップスデビューは果たしている。
この日は、後半大活躍のMFレイナ(#29)と今季絶好調のMFテチェラ(#13)を先発から外して戦った。25日に1回戦、今日、そして11月2日と試合が続く。この辺を考えての起用と語った。
監督は、選手のプレーには満足しているものの、決勝に進むには引き分けというわけにはいかないと気を引き締める。
両チームがプレーオフ準決勝でぶつかるのは初めて。ホワイトキャップスにとっては準決勝進出自体が初めて。しかも、相手は永遠のライバルで、昨季のMLS杯覇者。会場はもういやでも盛り上がる。
会場は通常より約5000人多い27,837人。1階席を最大限に広げて、ファンもサウンダーズを迎え撃った。これまでにBCプレースでは聞いたことのないような大音響が会場を揺らした。
緊迫感漂う展開に、選手も試合終了間際に一触即発の場面も。結局引き分けに終わった第1戦の決着は敵地シアトルへと舞台を移す。一説には5万人が詰めかけるという。ホワイトキャップスはその重圧に耐え、準決勝突破なるか。
ロビンソン監督はシアトルで勝つためには「運も必要」と。チームとして「なんとしてでも勝ちにつなげる方法を見つけ出すこと」。これしかないと語った。
果たして…。