Terry Fox Bronze at BC Place, Vancouver, British Columbia; Photo by ©Pacific Walkers
バンクーバー市BCプレース前にあるテリー・フォックスさんの銅像。独特の走法を再現している。 Photo by ©Pacific Walkers

今年もカナダ全国各地で「テリー・フォックス・ラン」が開催される。

今年は38回目。義足のランナー、テリー・フォックスさんが始めたカナダ横断マラソン「マラソン・オブ・ホープ」は道半ばで中断を余儀なくされたが、その意思は今も引き継がれている。

「テリー・フォックス・ラン」は、毎年全国9000以上のコミュニティが参加する一大イベント。今年は9月15日(日)に開催。

参加資格はランを楽しむこと。登録料無料、寄付義務なし。この日はただただテリー・フォックさんの意思と努力をみんなで分かち合いながら楽しく走ったり、歩いたりすることを目的としている。

 

リー・フォックさんが果たせなかったカナダ横断
「マラソン・オブ・ホープ」

始まりは1980年4月12日。カナダ東端の町、ニューファンドランド州セント・ジョンズ市。当時22歳だったテリーさんは、1日約42キロ、フルマラソンとほぼ同じ距離を毎日走り続けた。しかも片足は義足。目標は西海岸にたどり着くまでに、ガン研究資金1万ドルを募ることだった。

テリーさんは18歳の時、右足を失った。1977年に右足に悪性腫瘍が見つかり、同年3月右ひざ上15センチから切断。足を失ったことと病気で苦しむ中、入院中に自分と同年か、それより若い人がガンで苦しんでいるのを見て、ガン研究のための募金活動を行うことを決めたのだという。

その方法が義足でのカナダ横断。準備を整え、「マラソン・オブ・ホープ」と自ら名付け、出発した。

当時の新聞記事によれば、もともとこうと決めたらやり遂げる性格だったらしい。高校でも、大学でも、決意と努力でバスケットボールチームのレギュラーをつかんだ話が紹介されている。

足を切断する前日には義足のランナーについての本を読み、義足で走ることをすでに思い描いていたのだという。

今でこそ伝説の「マラソン・オブ・ホープ」だが、始めた頃はそれほど歓迎されていなかった。片足義足の若者がヒョコヒョコと体を横に揺らしながら、道路わきを走っているのだ。警察に止められることもあったという。

しかしメディアで紹介され、義足のため体を揺らしながらの独特の走法で毎日42キロを走り続ける姿に、次第に人々は感動し、支援し励まし続けた。

「彼の気持ちにまじりっけのない真剣さを見たのだろう」とテレビインタビューで兄のフレッド・フォックスさんは語っている。

そんな彼を再び悪夢が襲った。143日目、オンタリオ州サンダーベイ市で走りを止めることを余儀なくされたのだ。肺に転移がみつかったためだった。走行距離5373キロ。1980年9月1日。この日が最後の走りとなった。

出身地であるブリティッシュ・コロンビア州に戻り治療に専念したが、1981年6月28日、帰らぬ人となった。22歳11カ月だった。そして同年の9月、第1回テリー・フォックス・ランが開催された。以降、毎年行われている。

ちなみに、目標としていた1万ドルは、彼の予想に反して早い段階で達成されたのだという。そのため、目標を国民一人1ドルの寄付として当時の人口と同じ約240万ドルと定めた。この目標も、彼が亡くなる5カ月前にテレビ局の協力により達成された。

テリー・フォック・ランを主催するテリー・フォックス・ファンデーションへの寄付金は、現在でもガン研究やガンの早期発見などに役立てられている。

 

2019年「テリー・フォック・ラン」は9月15日に開催

彼の意思は家族に、カナダ国民に、そして、世界中の人々に引き継がれている。日本でも、東京、京都、千葉、札幌で開催されている。

カナダで参加したい!!という人はぜひ。テリー・フォックス・ファンデーションのHPには、カナダ全国で開催されるコミュニティごとの詳細が検索できるようになっている。

バンクーバー市ではスタンレーパークで開催される。その他の各市町村でも開催されるので、近くのコミュニティを探してみよう。

またこの日に参加できない人は、他の日程で開催しているコミュニティを探してみるのもいいかもしれない。

距離はコミュニティによってさまざま。3キロ~10キロが標準的。走ってもよし、歩いてもよし。ローラーブレードでも、自転車でも、犬が一緒でも、子供を載せたバギーが一緒でも、どんな形でも参加できる。

ただ基準はコミュニティのコースによって異なるので、登録時に要チェック。テリー・フォックス・ファンデーションのHPから登録できる。

The Terry Fox Foundationサイト : http://www.terryfox.org/