バンクーバーでベースボールを観戦しよう

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A Stadium view from behind the homebase; Photo by ©Pacific Walkers
試合前のグラウンド。整備の水が撒かれ、いよいよこれから選手を迎える。Photo by ©Pacific Walkers

バンクーバーにプロ野球チームがあるのを知っているだろうか?トロントを本拠地としているカナダ唯一の大リーグ球団トロント・ブルージェイズ傘下のバンクーバー・カナディアンズだ。

所属しているのはシングルAショートシーズンのノースウエストリーグ・ノース地区。シングルAショートシーズンとは、大リーグを1軍とすると5軍にあたるリーグで、その下にはルーキーリーグがあるのみ。

そのため、20歳前後のかなり若い選手で構成されている。

Nat Bailey Stadium "The Nat"
ナットベリースタジアム “ザ・ナット”。

本拠地とするのは、バンクーバー市のほぼ中心に位置するクイーンエリザベス公園にあるナットベリー・スタジアム-Nat Bailey Stadium-、通称「ナット-The Nat-」。世界一かわいい球場とも言われ、1951年からバンクーバーのプロ野球チームの本拠地としてその役割を果たしている。

今でもどこか懐かしい古き良きベースボールパークの記憶を思い起こさせるこの球場は、コンコースにはこれまでのこの地の野球の足跡が記されている。

その中には、戦前この地で活躍した日系人野球チーム「朝日ベースボールチーム」もある。2003年にカナダ野球殿堂入りをした後、2005年にはブリティッシュ・コロンビア州スポーツ殿堂入りも果たした。

1941年日本軍の真珠湾攻撃を機にカナダ政府の日系人強制収容政策のためチームは解散。二度と復活することはなかったが、チームの伝説は今でも語り受け継がれている。日本では「バンクーバーの朝日」として映画にもなった。

さて、そんなノスタルジックな思いに浸りながら、しっかりビールとホットドックを買っていざスタンドへ。緑が眩しいフィールドが目の前に広がる光景はやっぱりベースボールフィールド。いつ訪れてもワクワクする。

Popular Mascots, Mr. Kappa Maki and Ms. BC Roll
やっぱり人気のマスコット、ミスター・カッパマキとミズ・BCロール。

7回表が終わるともちろん “Take me out to the ballgame” の合唱もあり、イニングの合間には色々な趣向を凝らしたイベントも行われている。

人気はやっぱりマスコットレース。カナディアンズのマスコットはなぜか寿司がモチーフ。シェフ・ワサビ、Mr.カッパマキ、Ms.BCロール、そして新加入したサダハル・ソイ。北米広しといえども、寿司マスコットが競い合うのはここだけ。サダハル・ソイは醤油をモチーフにしている。名前が少し微妙なのが気になるが…。

他にも、客席にはバーベキュー席があったり、子供が遊べるキッズゾーンがあったり、家族と、友人と、野球仲間と、誰と言っても楽しい球場になっている。

さてチームはというと、現在ゲーム差なしの2位。ちなみに前半は優勝している。実はバンクーバー・カナディアンズは結構強いのだ。

Kawasaki Uniformed Fan
ブルージェイズに在籍中、大人気だった川崎宗則選手(現ソフトバンク・ホークス)。川崎選手のユニフォームを着ているカナダ人ファンを何人も見かけた。

ここでプレーした選手といえば、現在センターで大活躍スーパーマンの異名を取るケビン・ピラー外野手や昨季はチーム一の勝ち星稼ぎ頭でプレーオフ進出に大きく貢献したアーロン・サンチェス投手が2011年に、今やリーグを代表するクローザーとして活躍のロベルト・オスナ投手とチームナンバー1先発投手に成長したマーカス・ストローマン投手は2012年にこの地でプレーした。全員ブルージェイズで今季も大車輪の活躍をしている。

ここは若い将来有望な選手を見られるのも魅力。ここの野球コミュニティはとてもアットホームで、大リーグに行っても、少しでも長く活躍できるよう西の町から声援を送り続けている。

そろそろThe Natに行きたくなってきただろうか?ショートシーズンと言うだけあって、レギュラーシーズンは短く6月中旬から9月上旬まで。今季は残りわずかとなっている。

それでもまだホームゲームは残っている。今月26日には土曜日恒例、試合後の花火大会もある。ぜひ一度、この夏、The Natを訪れてはどうだろうか。

チケットなどの情報はバンクーバー・カナディアンズHPへ。

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