高級志向レストランより多文化グルメ

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salmon burger and fruit salad
サーモンバーガーとフルーツサラダ

最近バンクーバーでは高級志向なレストランが増えている。以前は大衆的で質より量なレストランが好まれる傾向にあったが、最近は量より質な傾向が目立ってきた。

きっかけは2010年2月に開催された冬季バンクーバー五輪ではないかと思う。以前から高級レストランは確かにあった。しかし、街全体が高級志向へとシフトしたのは五輪前後ではないだろうか。

カナダは「多文化主義」を国の中心に置いている。導入されたのは1971年。カナダ多文化主義法では「異なる出身の個人や集団間の交流を図るだけでなく、出身の相違にかかわりなくすべての人がカナダ社会へ全面的に、また平等に参加するよう推進している」(カナダ大使館ホームページより)とある。

わかりやすく言えば、移民者が自国の文化をカナダに持ち込み、育て、繁栄させることを平等かつ積極的に推進しているということだ。カナダ文化が「モザイク文化」と言われる所以である。

先住民族文化に、フランス系、イギリス系と初期の入植者から、アジア、その他のヨーロッパからと移民が増え、それに伴って文化の数も増加した。そして一見すると、それぞれが好き勝手に自分たちの文化を繁栄させているように見えるが、実はちょっと引いて鳥瞰的に眺めてみると、それは大きな美しいメープルリーフになっているというのが「多文化主義」だ。

その最も直接的な恩恵を受けられるのが食文化。カナダ国内でも、東と西では少し趣が違う。東はヨーロッパからの移民が多く、西はアジアからが多い。

西の端に位置するカナダ第3の都市バンクーバーは必然的にアジアからの移民が多くなる。だからアジア系レストランが多い。どこもそれぞれの国の特長を見事に表していて、レストラン巡りはちょっとした世界旅行気分になる。毎回、新しい発見と美味しさに出会えるのが楽しく、その多くは出身国の大衆的な料理を提供している。

しかしそれが五輪を前後にして、高級志向なレストランが増え始めた。理由はよく分からない。五輪で世界の注目を集めたので、それまでの大衆的なレストランもいいが、やはり高級感のあるレストランも必要だろうと思ったのかもしれない。

しかし本当のところは、国内で最も不動産価格が高くなってしまったバンクーバーでレストランを経営していくには、大衆食堂ではもうやっていけなくなったのではないかと思っている。少し高級感を出して付加価値を付けることで値段を高めに設定できる。

街全体も中規模都市からの脱却を目指すかのように、スタイリッシュさを求めた高級コンドミニアムが乱立し、それに合わせるかのように高級ブランドショップなどが立ち並ぶようになった。レストランの志向の変化も例外ではない。

日本から来た旅行者はバンクーバーの外食代が高いことに驚くだろう。しかもレストランならその上にチップが付く。

それでもバンクーバーのグルメを楽しむ方法はないものか。おススメは、やっぱり自国料理を前面に出しているご当地料理だ。中華はもちろん言うことなしだが、タイ料理とか、インド料理とかもおススメだし、中近東料理などは日本に少ないので、ぜひバンクーバーで味わってほしい。

ヨーロッパ系ならイタリアンや意外とギリシャ料理店が多い。独特のチーズを使った料理が特長でファンが多いのもうなずける。

ちょっと気取った高級志向なレストランもそれはそれで楽しむとして、やっぱり国際色豊かなバンクーバーグルメを堪能していただきたい。