Ramen; Photo by ©Pacific Walkers
豚骨ラーメンに舌鼓。バンクーバーは今やラーメン激戦区だ。Photo by ©Pacific Walkers

先日、「なぜバンクーバー市民はSUSHIが好きなのか」というコラムを書いた。この時に6月18日が「国際寿司デー(International Sushi Day)」だったと紹介した。

そこで世界中で愛される寿司は日本発祥と思い込んでいたが、調べてみるとちょっと違った。今の形の寿司は日本の江戸時代に確立されたとかで「日本を代表する伝統料理」の割には案外最近の話だと思った。

その起源となる原形みたいなものは東南アジア発祥らしく、それが中国、日本へと伝わったらしい。国際寿司デーを紹介した英語サイトでも同様の記述があった。英語でそこまで詳しく紹介されているなんて、まさしく世界のSUSHIだと思った。

それでフッと思った。他にも日本人になじみのある日本料理で世界的に認知され「国際○○デー」とかになっているものはないのだろうかということだ。

早速調べてみた。水曜日はひまなのである。

他にもあった国際的な記念日なった日本のソウルフード:天ぷら編

寿司と並んで日本を代表する世界的な料理と言えば、そう「天ぷら」。調べてみると、ありました。「天ぷらデー(Tempra Day)」。こちらはどうやら国際というよりはアメリカでのNational Tempra Dayのよう。

それでも英語で天ぷらの起源を紹介したサイトではやたら詳しく、天ぷらの人気度が伺える。起源はポルトガルらしく、16世紀半ばに日本に来たイエズス会が伝えたそう。鉄砲と南蛮料理の伝来という昔学校で習った日本史だ。それを徳川家康がたいそう気に入り、日本に定着。日本風にアレンジしてすっかり世界の天ぷらとして君臨することになったと説明している。

天ぷらの語源は、諸説あるようでなかなか面白い。天ぷらデーを紹介する英語のサイトによると、スペインやポルトガルの宣教師が使用していたラテン語のTemporaで「期間」と意味らしい。これはキリスト教の四旬節を指す言葉として用いられていたという。同じような説明が昭和産業の天ぷらの歴史にも紹介されていた。

しかしこれでは食べ物の天ぷらとの接点が全くない。と、その他の可能性としてTemperoで「調味料」を意味するポルトガル語の名詞、もしくはその動詞形Temperar「調味料を加える」を紹介しているが実証はされていないらしい。

ここまで英語で紹介されているのもなかなか面白い。さらに、寿司と天ぷら好きが高じたアメリカ人が編み出した究極の合わせ技が「寿司の天ぷら」だそうである。ここまでくるともはや別物。現物写真が見たい。誰か知っている人がいればぜひどこかにアップして知らせてほしい。

ちなみに日本では7月23日が「天ぷらの日」だそう。大暑を迎える頃に夏バテ防止に天ぷらを食べて元気に過ごそうという意図があるらしい。今では毎月23日を「天ぷらの日」にしているとか。何年か前に羽田空港の5階にある天ぷら屋さんのカウンターで食べた揚げたてアツアツの天ぷらがすごく美味しかった。また食べたい。

ちなみに、7月20日頃の「土用の丑の日」、8月29日の「焼肉の日」を合わせて、「夏バテ防止の三大記念日」と言うのだそうだ。面白い。土用の丑の日は知っていたが、天ぷらの日と焼肉の日は知らなかった。猛暑の日本の夏を乗り切る自信がないので、夏は涼しいバンクーバーで過ごしているが、こちらでもぜひやってみたい。

それにしても、食で体力を維持・回復させ厳しい季節を乗り切るという考え方は実に食大国の日本らしい。中国には医食同源という言葉があるが、日本にも食で暑い夏や寒い冬を乗り切ろうという昔からの知恵がある。

ちなみに北米にはない。基本は薬やサプリ頼みである。

バンクーバーで大人気のラーメンの記念日や照り焼きの日は果たしてあるのか?

さてここまできて勢いづいたので、他の記念日も調べてみた。ひまつぶしだからやれるところまでやる。

バンクーバーで寿司、天ぷらに続いて日本食レストランで見かけるメニューは照り焼き。チキンだけではなくてサーモンの照り焼きもある。バンクーバーらしい。もちろん美味しい。

で、探したところ「照り焼きデー」は検索に引っかからなかった。「照り焼きの日」もなかった。ちなみにTeriyaki Dayもなかった。

続いてラーメン。バンクーバーは今やラーメン店の開店ラッシュ。びっくりするほどラーメン屋が増えた。もちろん寿司屋に比べれば雲泥の差だが、それでもバンクーバーの目抜き通りロブソン通りはラーメン店が立ち並んでいる

それらのラーメン屋は昼時になるといつも行列ができている。日本でも知られた有名チェーン店もあって、なかなかの激戦ぶりだ。それでも結構いいお値段がする。

考えてみればラーメンはアメリカではとっくに市民権を得ていて、バンクーバーに来るのが遅かったくらいかもしれない。だからラーメンデーはあると予想していた。

予想は的中した。

Ramen Noodle Dayは4月4日。アメリカの全国紙USA Todayが紹介していたから間違いない。なぜこの日なのかはよく分からなかった。で、やっぱりこれもアメリカ国内のNational Ramen Noodle Dayという記念日。アメリカでいうNationalが付く記念日は大体カナダでも記念日として扱われるので、カナダでも記念日と思って間違いない。

ちなみに日本の「ラーメンの日」はやっぱり違った。日本ラーメン協会によると7月11日。ただ日清食品は世界初のインスタントラーメンであるチキンラーメンを発売した8月25日を「ラーメン記念日」に制定していると紹介している。

このインスタントラーメンも今や世界中で当たり前に販売されている。ラーメンもすっかり世界のRamenになっている。そのうちラーメンが日本の食べ物だということを知らない人も出てくるのではないだろうか。いやもういるかもしれない。

バンクーバーには面白いインスタントラーメンがある。出前一丁なのだが、味のバラエティが面白いのだ。これはまたの機会に紹介する。

ちなみに、Ramen Noodle Day意外にNoodle Dayというのも見つけた。こちらは10月6日。ラーメンだけではなく、スパゲッティやらベトナムのフォやら、世界の麺類全てを含めた記念日らしい。

なんで記念日を作るのかという理由は、「麺料理を食べるため」ということらしいので、結局のところ、こちらで言う記念日とは食べることを目的とした口実に過ぎない。

食は世界共通の楽しみなのである。

 

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