例年ならとっくに終わっている桜の季節。今年は2週間ほど遅れてようやくほころび始めた。それでもまだまだ3分咲き。これから見頃を迎える。
バンクーバーには実は多くの桜の木が植えられている。政府の発表によると約6万本。種類はさまざまで、まずは小さなピンクの花をつける背の高い桜の木から始まって、ソメイヨシノなどが見頃を迎え、八重桜と咲いていく。
この季節、街は桜色に染まり、バンクーバーに春が来たことを知らせてくれる。
バンクーバーで最も古いソメイヨシノは、日本国総領事館総領事公邸の庭にある桜と言われている。
バンクーバーの桜の多くは、日本から友好の証として贈られたもので、それらの多くが日本人だけではなく、多くの人々の心を和ませている。
日加関係の過去に暗い影を落とす
そんな日加友好にも暗い影を落とした時代があった。1941年12月7日(現地時間)、日本軍によるパールハーバー襲撃を理由とするカナダ政府の日系人強制収容政策の実行だ。このバンクーバーを中心とするブリティッシュ・コロンビア州に住む日系人全員が、日本生まれ、カナダ生まれ関係なく、内陸地へ強制収容、もしくは日本への帰国を強いられた。
強制収容が始まったのは1942年4月。その時もおそらく友好の印に贈られた桜は美しく咲いていたに違いない。今年で76年になる。カナダ政府はその後1988年に日系人強制収容政策について公式に謝罪した。今年はそれから30周年を迎える。
桜まつりも、もうすぐ開幕!!
今では、日加は最も友好な二国間関係と言われている。毎年この時期には、カナダ人のリンダ・ポールさんの提案で始まったサクラまつりが開催されている。
今年は4月3日から。4月29日までさまざまなイベントが開催される。俳句大会や桜の名所を巡るウォーキング、桜の下でのランチなどなど。詳しくは桜まつり委員会(vcbf)HPを参照。http://www.vcbf.ca/
バンクーバーの桜の名所というと、まずは、お馴染み、ダウンタウンど真ん中、スカイトレインのバラードステーション。バンクーバーでも最も早く咲くのがここの桜。
多くの人々が行きかうこの場所にあるアーチ形になった桜の木が満開になった時の風景は圧巻。多くの人が写真を撮っている。今は3分咲き。これから1週間以内に見頃を迎える。この時期にバンクーバーにいるなら是非。
他にもクイーンエリザベス公園にはバンクーバー最大の桜があり、毎年多くの人々を楽しませている。
戦前には日本人街と呼ばれたパウエル地区にも今でも当時をしのばせる桜がある。
バンクーバー市キツラノ地区のビーチ近くにも、ブリティッシュ・コロンビア大学構内でも、とにかく町中桜並木は存在する。なにせ6万本である。普通に街を歩いてこの時期に桜を見ないことはない。
これから春の陽気となるバンクーバー。街が桜色に染まる中、ウォーキングがてら桜を愛でたいと思う。ただ、日本のような桜の下での酒盛りスタイルのお花見はNG。それだけが残念だ。
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